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- 税理士法人TOTAL
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業務の標準化と教育研修への取り組み
起業家支援という明確な目標を掲げ、それを実現するために高橋氏が取り組んでいることがある。
一つは業務の標準化であり、一つは教育研修である。
「会計業界は、業務の標準化という面では遅れていた業界だと思います。それではやはり規模の拡大もできないでしょうし、働く人のスキルアップにもつながりません。もちろんお客様にのためにもなりません。
そこで私たちは業務の標準化に積極的に取り組んでいます。例えば法人の申告書を一つ書くために、約400箇所のチェック項目を設けて業務を進めています。
そして出来上がった申告書を、改めて4人がチェックすることで、品質の維持と効率化を図っているわけです。月次の税務・会計業務においても同様の取り組み
を行っています。こうした取り組みのためのミーティングは必要に応じて随時行い、研修も行います。そしてITを駆使してできることは、積極的にITを活用
しています。社内にはそのための専門家もいますから」
そして標準化を進め、業務を着実に行っていくためにも、教育・研修は欠かせないものとなっている。
「事 務所のスタッフには、実務経験者もいますが、実務未経験者が半数以上を占めています。だから教育・研修は不可欠といっていいでしょう。いまお話しした標準 化を進めているのも、未経験の方が早期に実務に就いて実力を発揮してもらえるように、という意味もあるんです。業務の標準化を進めるために設定したチェッ ク項目に添って、実際の月次から申告に至るまでの実務については、適宜研修を実施しています。もちろん、法改正等についてもその都度、タイムリーに実施し ています」
起業家をTOTALに支援
では、高橋氏は現在、どんな事務所を作っていこうとしているのだろうか。
「業務としては税務・会計をベースに、起業家、経営者をトータルにサポートしていきたいと考えています。よく、開業したての税理士の方が起業家支援を旗印
に展開することがありますが、実際にはスタッフが10名程度に成長すると方向転換してしまうケースがほとんどです。なぜ、方向転換してしまうのか。それは
一言で言って儲からないから、効率が悪いからなんです。起業家支援、というとカッコよく聞えますよね。でも、起業したばかりの会社はどんな会社でも中小・
零細企業で、もちろんお金はありません。その一方で、会社は出来たてですから、いろいろなことをサポートしないと歩き出せない。すでに長く営業している会
社なら当り前に普通にできていることもまだできていなかったり、決っていなかったり、仕組みすらない...。だから、非常に手間がかかり、効率は良くないのが
現実です」
冷静に考えれば、高橋氏が言うようにほとんどの起業したばかりの会社は確かに未成熟であり、
売上もこれからであろうからお金が無いことも理解できる。なぜ、高橋氏は起業家支援に取り組むのだろうか。
「私
たちのコンセプトでもある『あなたと共に成長したい』という思いの通りなんです。私たちは、お客様と一緒に成長したいと考えています。起業した会社が中小
企業から、中堅企業へ、そしてできるなら大企業へと成長する過程を、ともに歩んでいきたい。その過程を通じて、お客様も成長するでしょうけれど、事務所の
スタッフや私、そして事務所自体としても一緒に成長したい。そう思っています」
実際、300件近い関与先のうち、7割以上が設立5年以内の会社だという事実は、
それだけ起業家支援に対して真剣に取り組んでいる、一つの表れだろう。
「税
理士法人化する際に、事務所名をTOTALとしたのも、起業家、経営者をトータルに支援したいからです。言い古された感もありますが、ワンストップサービ
スでなければ、起業家の支援はできません。新たに事業を始められたばかりの方が、税金は税理士、登記は司法書士、社会保険は社会保険労務士、許認可は行政
書士、といったようにそれぞれの専門家にお願いするなんて現実的じゃないんです。よくネットワークで対応するというやり方をお聞きすることもありますが、
私たちは自分たちのグループ内ですべて対応できた方が、より良い起業家支援ができるのではないかと考えています。幸いなことに私の家内が司法書士です。
TOTALグループとしては税理士5名、司法書士2名、社会保険労務士3名、行政書士4名、CFP1名、さらにIT系のスペシャリストもいますから、起業
家の方が必要とする専門サービスにはほとんど対応できると思います」
社内では専門スタッフの養成を進めている高橋氏。氏は決してネットワークが必要ないといっているわけではない。
トータルにサポートするからにはできるだけグループ内に専門家を取り込んでいきたいと考えているのである。
だから同時に弁護士や不動産鑑定士等の士業とのネットワークもきちんと構築を進め、
実際に活用しながら起業家支援を進めているのである。
このように業務は起業家支援と言い切る高橋氏だが、それ以外の業務についてはどう考えているのだろうか。
「事務所が一定規模以上になると、例えば業種特化で医療経営に取り組む、また資産税などの業務に特化する、さらにM&Aや組織再編など新たな分野
の業務を行う事務所が多いと思います。私たちはそういった業務をやらないといっているのではありません。事務所が目指す方向と、軸足が起業家支援にあり、
そのオールマイティーを目指しているのです。実際に300件近いお客様がありますから、お客様の中には医療機関もあって増えていますし、資産税のご依頼も
だいぶ多くなりました。事業承継やM&Aといった話しも舞い込んできています。それらの業務にはきちんと対応していますし、対応できるよう私もス
タッフも勉強を続けています」
病気を脱し、税理士試験に取り組む
大学を卒業した高橋氏は、病気という事情もあり就職もままならず、自宅で療養生活を送っていた。
「実際には約2年間、自宅でゴロゴロしていました(笑)。調子が悪かったので就職は出来ないし、健康じゃないから農家の跡継ぎにもなれない。療養しなが
ら、自分の経験してきたことをもとにいろいろな仮説を立て、さまざまな民間療法を試してみました。その結果、病気は治ってしまったんです。素人ながらも一
所懸命に考えた仮説のうちの一つが正しかったのでしょうけれど、医学的に証明されている治療法ではありませんから、公には治ったことも認められてはいない
ようです。もしかしたら、ゆっくりと休んでいたから治ったのかもしれませんね(笑)」
体調が回復した高橋氏は、そこから真剣に税理士試験への挑戦を開始した。
1年間は受験勉強に専念し、5科目合格を目指したが、さすがに勉強時間が追いつかずに3科目を取得。
翌年、残り2科目に挑むが合格は1科目のみ。
「最後の1科目に合格するまで、そこから5年かかりました。最終的に合格できたのは、1998年の本試験です。やはり税理士試験は難しい試験だと痛感させられました」
受験勉強の傍ら、高橋氏は千葉県の会計事務所に5年間、
東京都内の事務所に1年間勤務し、実務経験を積んでいった。
「1999年に独立開業したのも、積極的な理由や明確な目標があったからではありません。もともとのスタートがゆっくりと仕事をして、楽をして生きたいというものでしたから、なんとなくその方向に進んだだけです。
独立開業をした当時、こんな事務所を作ろう、あんな業務をやろう、という強い意志も計画もありませんでした。こんないい加減な理由ですから、いま一所懸命
に税理士を目指して勉強されている方が読むと、怒るかもしれませんね。ただ、今は税理士は天職だと思っていますし、どんな業務を行い、どんな事務所にして
いきたいという明確な意志もあります」
現在、高橋氏が率いる税理士法人TOTALは総スタッフ数30名、関与先は300件弱、
2008年は30%増、約100件のお客様が増えるペースで成長しているという。
では一体いつ頃から高橋氏は税理士としての明確な意志を持つようになったのだろうか。
「開業して4~5年目に、それまで採用していた補助的な仕事をお願いするパートタイマーではなく、本格的に事務所の業務を任せるスタッフを採用した頃から
でしょうね。もちろん、それまでも成長するために必要な手は打っていましたし、年率50%程度は成長してきていました。ただ、明確にどんな事務所にしてい
きたいという思いには至っていなかったと思います」






